出店しよう

繁盛店として成功すると、1店だけでは売り上げの増加にも限度があり、従業員も育ってきて店を任せられる人材にめどが立つと、もっと事業を拡大させるために2店目を出してみたいと考えたくなります。ところが、2号店を出したのに失敗し1年で閉鎖して1店舗に戻って、大きな負債だけが残るというケースも数多く見てきました。例えば1号店のそばに予期しなかった競合店が出店してきたり、2号店の立ち上げに優秀な人材を当てて経営者もそちらに気をとられている間に1号店(本店)の営業力が低下したりして、2号店の初期費用を支える利益を稼ぐはずの1号店(本店)の売り上げが落ちてしまい急に資金繰りが厳しくなったりと、多店舗化にはたくさんの落とし穴が待っています。もちろん2号店自体が成功しなければ多店舗化は頓挫しますから、確実に2号店を成功させることがまず何よりも重要です。もちろん既に多くのお店を持っているチェーンでも、経営がすぐ揺らがないにしても新規出店のリスクは変わりません。

今回は新規出店を確実に成功させる条件を、商圏分析の視点から釣りに例えながら考えて見ましょう。

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<執筆者プロフィール>

藍野 弘一(あいの こういち)

Aino.png 西友、ファミリーマートなどの小売・流通業における店舗開発・店舗企画部門にて、商圏調査や出店戦略を担当。日本国内にとどまらず、台湾・韓国をはじめアジア各国での新規出店を手掛け、各地で売上No.1店舗を開店させ事業を軌道に乗せるなど業態や地域を越えて商圏分析や立地評価に豊富な実務経験を持つ。
日産自動車株式会社において、販売ネットワーク再編成と出店ノウハウ体系化に携わり、2007年に手掛けた次世代新型店舗が全販売店の販売と利益でトップをおさめる。
主な著書として『これから量販店はどう変わるか』『マーケティング実務』などがある。